奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

歩君の言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろす。


大きな怪我じゃなくて良かった。



「忙しいと思うけど、念の為病院行ってね? 治療費は後で払うから」

「このくらいだったら大丈夫だよ。 それよりも説明してもらいたいんだけど……」



私たちは椅子に座り直した。


春ちゃんの事は伏せて、お粗末者と出くわし助けてくれた事だけを話した。


歩君は「俺が!?」と何度も驚いていた。


そりゃそうだ。


のり移ってた春ちゃんがやった事で、歩君自身全く身に覚えのない事なんだから。



「文美ちゃんを信じてないわけじゃないんだけど、それ本当?」

「うん……本当……」

「そっか……俺疲れてるのかな?」



そう言って笑ってくれる歩君に心の中で何度も謝った。


なんていい人なんだろう。



「とにかく、文美ちゃんが無事で良かったよ」

「歩君……ありがとう」

「文美ちゃん、なんか雰囲気変わったね」

「そうかな?」

「前はぎこちなくてすっごい壁を感じてたけど、柔らかくなった気がする」



柔らかく……それはきっと春ちゃんのお陰かもしれない。



「あっ、ヤバ! 俺仕事の途中だった!! ごめん、もう行くね。 また三人でご飯でも行こうね」

「うん、今日は本当にありがとう」



携帯を見た途端慌しく去っていった歩君に手を振って見送った。