「なんでハルとモモがここにいるの?」
さっきまでの恐怖心はどこへやら。
追いかけてきていた得体の知れないものが友人だとわかった瞬間、いつものクールフェイスに戻って2人に問う。
この変わりようには自分でも呆れる。
「なんで・・・って、心配だったからだよ。」
最初に口を開いたのは、くせっ毛ゆえにフワフワした茶髪の、斎藤春輝(サイトウハルキ)。
生まれた頃から家も隣でずっと一緒だった、いわゆる幼なじみ。
優しい「お兄さんタイプ」なため、誰からも親しみ頼られ、私も無意識に頼りすぎてしまっている。
直さないとなぁ・・・。
「心配?」
「ほら、レイレイ貧血で倒れちゃったでしょ?
すぐ帰ってくると思ったんだけど、1限終わっても帰って来ないからさー・・・。」
2度目の私の問いに答えてくれたのは、明るい茶色の髪をクルクルに巻いてツインテールをしている、園川桃(ソノカワモモ)。
モモは誰から見ても可愛いと思える容姿の持ち主だ。
それゆえか、中3の頃同性からイジメにあっていた。
それを私がたまたま見つけた止めたらら、アッサリ終了。
そこから仲良くなり今に至る、という感じだ。
「だからハルハルと、レイレイを探しに行くことになったんだよ。」
と付け加え、モモは「ねっ」とハルに目線を送った。
ハルはそれに笑って頷き、
「今日は休み時間という休み時間はないから基本教室待機なんだけど、わざわざ先生に許可とって急いで来たんだからな。」
と、わざと大袈裟に肩を落とした。
だから廊下に誰もいなかったのか、と納得しながらも、
友人達の優しさに
心の何処かで、ちょっぴり感動していたりする。
