「ん・・・・・。」
私は、高校生になって初日、それも入学式、貧血をおこし保健室行きになった。
当然の事ながら目に入るのは、保健室らしい白く清潔な天井。
ゆっくり頭を動かし、時計を探す。
あ、もう1限始まってるじゃん。
しかもあと10分。
・・・・・・・半分はぐっすり寝てたな。
「あら、起きた?」
時計から今の声の持ち主へと視線を写すと、
「元気そうね。よかった。」
白衣を着た、ショートヘアの美人さんがいた。
すぐに、この美人さんは保健の先生だと理解した。
保健医は美人で色っぽいという、よくある漫画の法則は本当だったらしい。
私の目が、賞味期限切れの生物のように腐ってない限り、今この目で検証された。
「後の方は、ぐっすり寝てたから大丈夫だとは思ってたんだけどね。」
あ、やっぱり。
と、不意に隣のベッドからモゾモゾと誰かが起きる音がした。
「あら、あっちも起きたみたい。」
貧血仲間だろうか。
「その子も倒れちゃった子ですか?」
「えぇそうよ。
入学式の時の校長先生の話はすごい長いからね。
毎年決まって新入生から倒れる子が出るの。」
「え・・・毎年ですか。」
先生が隣のベッドの子の様子を見ながら答えてくれる。
「まぁね。
去年は確か・・・6人だったかしら。
今年は他に2人いたけど、もう教室に戻ってるわ。」
今年の校長先生の長話攻撃の餌食になったのは、4人だったらしい。
