カタチのないセカイの為に


目的地に到着して、美咲は眼を疑った。

「ここ…、工事現場じゃない!!」

美咲は、右左に首を動かしながらキョロキョロと周りを確認する。
そこは、家を囲うような外壁が残されていて、
門のところには、『立ち入り禁止』の大きな看板が壁のようにぶら下がっていた。
外から見ても、大きい家が建っていたことがわかる。

日は沈みかけて、紫と少しだけオレンジが混ざっている。
そんな空だった。



理子は車から荷物を降ろす。
「忠君。バケツ持ってぇ?」
「はい。」
「花火は?」
「あちらです。」
忠君の指した先を見ると、
優潤と健吾が花火の入った袋を持って両手を挙げている。
理子が二人のほうへ歩き出した時、美咲がボーッと立っているのを見つけて、声を掛けた。
「行くわよ。」
「あ。うん。」
美咲は、何か腑に落ちないような声で応え、歩き出した。



美咲は、首を傾げてた。
「何処から入るの?」
優潤は、優潤の隣にある門と塀の間を指差した。
「ここ。」
美咲は驚いた。
「ここ…?入ったらダメでしょう?」
「大丈夫。大丈夫。」
優潤は持っていた荷物を地面に置き、
軽々と門と塀の間をよじ登っている。

次に、健吾が登り始めた。
健吾は、塀の真上で動きを止めた。
「忠君。荷物、取って。」