あたしは期待に胸を膨らませて、扉を引いた。

古びた木の枠にガラスがはめ込まれた、簡素な扉。


ガラスには所々セロハンテープが貼られていて、年代を感じる。


カウンターには、鶏みたいなふわふわした白髪が両サイドに生えた、眼鏡のおじいさん。


あたしをみつけると、がたがたと机の中を探し、笑顔であたしに茶封筒を手渡した。


あたしは代わりに、小銭をいくつか、おじいさんに手渡した。


封筒の中を覗くと、なかには花の種がたくさん入っていた。


封筒の裏には、おじいさんが書いたのだろう、「パンジー」と筆ペンで書かれていた。


あたしは幸せな気持ちでいっぱいだった。