静かに、丁寧に閉じてある封をハサミで開ける。
三つ折りしてある手紙を恐る恐る開いた。
中には、私たちを捨てた母親の字。
でも、もう責めたりしない。
ただ、もう関わらないで欲しかった。
親2人とも、龍の病気の金が足りなくて
多額の借金をした。
別にそれはよかった。
でもあの人達は逃げた。
2人して。
結局残った私に借金の取り立て。
生活費、高校代、龍の病院代、龍の学校代ってなったら
普通のバイトじゃ到底足りなかった。
だから、私は夜の仕事を始めたのに…
今更、何の用?
"琉依、元気にしてる?
ちゃんと食べれてる?
お母さんはとても心配です。
ごめんね、現実から逃げた私たちを
許してください。
こんど会わない?
ちゃんと謝りたくて。
嫌だって言うでしょうね…
でも、気が向いたら電話ちょうだい
080XXXX3X54
あなた達をいつまでも愛してます。
母より。"

