涙 - Rui -






「龍、おかえりー。」


「ただいま~。お姉ちゃん早くない?」

「うん、お姉ちゃんは終業式だったから。」


「そうなんだ。
いいなぁ、早くて。」

「龍ももうすぐで終わるじゃん!」

「うん。
ねぇ、夏休みどっかいきたい。」


びっくりした。

龍は自分のしたい事を私に言わない。


いつも、何が欲しいって聞いても
何もないよとか、靴だってまだ履けるからって

だから、今龍が初めて自分のしたい事を言った。


「やっぱりお姉ちゃん忙しい?」


「え?ううん!大丈夫だよ!
行こっかどっか!
どこ行く?」


「えっとね~、…ぁ、どこでもいいよ。」


ほら、こんな感じ。
遠慮するんだ。

姉弟なのに…。


「なに、遠慮してんの?
どこでも連れてってあげるよ!
あ、でも英語とか話せないから
外国はパスね(笑)
国内ならどこでもいいよ?」


「ほんと?じゃあ、大阪行きたい!」

「うん、じゃあ大阪行こっか。」


「うん!ありがとう!」


嬉しそうに笑う弟。

久しぶりに見た。
私はどんだけ淋しい思いさせてきたんだろう…