恋のお時間。

「ゆ、有希?落ち着いて?とりあえず廊下行こう!」

「落ち着ける訳ないじゃんっ!まじムカつくあの女!一回殴らないと気が済まない‼」


今にも真美に殴りかかりそうな有希を必死に抑えつけていると、廊下に翔の姿が見えた。


「有希!ほらっ、翔、翔来たよ!」

「有希、菜奈、おはよー。って、菜奈、コイツどうしたの⁇」


有希の顔を覗いて驚いている翔に私は必死に事情を説明する。


「また真美が…」

「またアイツかよ、ったく…おい有希!落ち着けって!とりあえず菜奈、コイツちょっと借りるわ。」

「よろしくですっ。」


翔の顔を見た有希は、少し落ち着いたみたいだけどまだ興奮気味の様子。そんな有希を翔は優しく教室の外へと連れて行った。


「ふぅ。こりゃこれから大変だぁ。」


そう溜息をつきながら席についた瞬間、後ろから頭を叩かれた。


「いったぁー!!って、駿!何すんの!」

「うっせ、お前が朝から溜息なんてはいてるからだろ?」


そういう言ってきたのは、あたしの幼なじみの、長谷川 駿(はせがわ しゅん)。