恋のお時間。

「じゃあ改めて。今日からこのクラスの担任を務める、坂本 夏樹(さかもと なつき)です。今年からこの田城高校に来ました。よろしく。」


あたしは未だに顔を上げられず、下を向いたまま先生の自己紹介を聞いていると、あたしの前の席にいた有希が声をかけてきた。


「ちょっと、菜奈!坂本先生、かなりかっこよくない?あたしタイプかも~」

「タイプかもって…有希、翔がいるじゃん。」

「それとこれとは別なのっ!」


そんな有希を無視しながら、あたしは坂本先生を見ようと顔を上げた。


「えぇっ!」


一瞬だった。坂本先生を見た瞬間、体に電流が流れたみたいにドキっとした。

こげ茶色で少し猫っ毛の髪に、今日は新学期だからなのかスーツ。そのスーツも、縦のストライプがすごく似合っている。

整い過ぎっていうくらい整った顔に、黒ぶちめがね。

こんなにかっこいい人、見た事無い。駿や智弘は、よく周りからイケメンだって言われてるけど、昔から一緒の私からすれば、ぜーんぜん。ただのおバカ2人組だった。

それから少しの間、私は坂本先生から目を離すことができなかった。

ーあぁ、これが恋なんだ。

そう理解するのに、少し時間がかかった。