待ちに待った、夏の日。 蝉の声が聞こえてくる。 熱風が顔にかかり、顔を少し歪めた …が、 バスの中から顔を覗かせた彼女を見て、笑顔に変わる。 去年より伸びた、栗色の髪に、 変わらず大きな瞳が揺れる。 手を差しのばしと、ゆっくり重なる小さな手。 俯きぎみに微笑む君が、 何だか泣いているようにもみえたけど。 「おかえり」