ドライヴ〜密室の教習車〜

「その時、確かにもう一人一緒にいたんだな?」

「そうそう、黒髪で色の白い美少年って感じの子と一緒だったわあ。プリクラの子と同じ子だったわよう。見えたもの。アタシ、視力5.0なの」
 ユキちゃんが頬に手を添える。


 私の胸がざわめいた。

 ちなみに、ユキちゃんの視力については、新種の珍獣とでも思えばそれほど問題はないだろう。

 ……覚えのある《その特徴》。
 なぜか、記憶と思考の間に靄のような存在を感じていた。


 篠さん達は、話を続けた。

「その二人は、どんな様子だった?」

「二人して暗い顔で何か話をしていたわ。二時間くらいいたわね……」

「話の内容はわからなかったか?」

「ほとんど聞こえなかったけど……《作戦》がどうとか《実行》がどうとか言ってたわ」