ドライヴ〜密室の教習車〜

 私の全身から、力が抜けた。腰も抜けそうになった。

 これは……今流行りの《オネエ》ってヤツか!!

 そして、もしかしてこの人が……。


「ユキちゃん、さっきの本当か?」


 私が予想した通りの名前で、篠さんはその店員さんのことを呼んだ。

「篠さん、ユキちゃんってこの人のこと?」
 私は思わず聞いた。

「ああ。彼がユキちゃんこと、来田雪冶(くるたゆきじ)さんだ」

「ゆきじ……」
 
 私は、その男らしい名前をつぶやいた。