ドライヴ〜密室の教習車〜

「えっ!!」

 私の声が大きかったらしく、目の前の篠さんに眉をひそめられた。
 でも、そんなことは今は全く関係ない。

「ど、どうして?」

『なんか文乃、一時間目に乗った教習生の香水の残り香がキツイから教習車を交換してくれって言われたんだって。藤田さんから』

「藤田さん!? じゃあ、二時間目は藤田さんが26号車に乗って、文ちゃんは……」

『藤田さんの36号車だよ』


 そうだったんだ。

 そうだったんだ。そうだったんだ。


「ありがとう! 弥生! また連絡する!」
 
 私は一方的に電話を切った。