ドライヴ〜密室の教習車〜

   〈3〉

 私は携帯電話を取り出すと、着信履歴から弥生の番号を呼び出し、電話をかけた。

 ふと、前に座る篠さんと目が合う。
 なんだか、優しい目をしている気がした。

 心配してくれてるんだな……。

 と、思いつつ。私は目をそらした。


『……もしもし、和紗?』

 つながった。
 
「弥生……、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」

『うん、いいよ。まだ篠さんと一緒にいるんでしょ?』

「まあね。……あのね、2時間目も文ちゃんって26号車を使ってたんだよね?」


『あ~……いや、違うよ』