ドライヴ〜密室の教習車〜

「実際は手作りの……無論おもちゃとは言えないが、たぶんなぎさんの考えは外れてはいない。まずナイフ自体は果物ナイフの刃だ。そして、柄は縄跳びの持ち手だ。それも太くて長い、長縄飛び用のな。柄の中にはバネと水を入れる。そして、ナイフの刃の部分を、柄の部分に閉まった状態で凍らせるんだ。これで殺人カラクリ機の出来上がりだ。後は氷が融けるのを待つのみ。ナイフが飛び出るまでだいたい20分から30分くらいだそうだ」

「……なんか、嘘みたいな仕組みですね」


「これで、実際人が死んでいるのだから、冗談ではすませない」

 篠さんの真剣な目は、私の目を奪って捕える。



 そう。 

 そんなふざけた装置によって人が一人。


 《村上隆志》が死んだのだ。