ドライヴ〜密室の教習車〜

 私は、事件の起こった教習車の内部を思い出していた。

 確か、気になる点がいくつかあったはずだ。

 ……運転席の背もたれの部分。細長く開いた、穴のようなものがあった。
 そして、血に混ざってシートに滲み込んでいた、透明な液体。

 それが《殺人カラクリ機》の正体のヒントになるのだろうか。

「なぎさん、村上さんの死因は?」

「ナイフでブスっとです」

「どこを?」

「背中です。……そっか、もしかして」

 脳内と心の中のもやもやが、その瞬間結合したみたいだった。
 結合したとたん、それは嘘のように消え去った。
 雨雲と、青空のようだと思った。

「おもちゃのナイフが、シートに埋められてたんですね」