右側には入口の扉があり、その脇に大きめの観葉植物がある。
 緑の力は偉大だ。
 さびれた雰囲気のこの空間の、オアシスのような存在になっている。
 あるのとないのとでは随分違うだろう。

 入口の横の方に、まるで給湯室のように小さなコンロがあった。
 一応食器棚もある。お客さんをもてなす用意はできているようだ。

 ……そろそろ私のことをもてなしてもいいんじゃないですか?

 左側に目線を動かすと、そこにはデスクがあり、その隣には大きな本棚が二つ並んでいた。
 そこに収められているほとんどが、専門的な内容の書物のようだ。
 後はファイルも数冊並んでいる。



「なぎさん、少々挙動不審じゃないか?」

 いつの間にやら篠さんは隣の部屋(?)に行っていたようで、なんだか失礼なことを言いながらこちらへ戻ってきた。
 その扉の向こうから流水音が聞こえてきた。

 ……トイレか。