「その子は、里卯さんじゃないよ。高田佳奈。村上くんの彼女だった子」

 私が見慣れているはずの《その顔》を、里子ちゃんは別の名前で呼んだ。

 思考が、揺れて。ぼやける。

「……え? たかだ、かな……ちゃん?」

「そう。佳奈は、私の友達だったの」



 信じられなかった。

 そこに写っているのは、文乃ではなく別人らしい。

 似ている、なんてもんじゃない。
 どう見ても、本人だ。

「私も、最初に里卯さんを見た時は本当にビックリしたよ……」



「……なるほどな」
 篠さんが、ゆっくりと頷いた。

「これが、運命、というわけか」