「……田中さん、このプリクラ見て」

 おもむろに里子ちゃんがバッグの中から手帳を出してひろげ、一枚のプリクラを指差して私に見せてくれた。

 それを見た私は、一瞬呼吸を忘れた。

 村上くんが、私には想像もできなかった笑顔で写っている。

 間違いなく、彼が高校生の時のプリクラだろう。
 なんだか若いし、なにより制服姿だ。

 そして、問題はその隣にいる女性。


「……文ちゃん?」


 文乃。里卯文乃。

 制服姿だが、彼女にしか見えない。

 肩までのボブヘアー。

 黒目勝ちの瞳。
 高くはない鼻。
 薄く小さい唇。

 その笑顔。

 あの、笑顔。