ドライヴ〜密室の教習車〜

「運命」


 私は、驚いて思わず繰り返してしまっていた。

 村上くんが、運命を感じてしまうくらいに文乃を好いていたこと。

 私の想像を超える世界。

 使ったことのない言葉だが。
 彼は文乃のことを《愛して》いたのだろうか。


「まあ、結局は全然相手にされなかったみたいですけど……」
 相川くんは淋しそうに言った。

「ところで」
 相川くんの視線に鋭さが増す。

「隆志は……一体どういう状況で?」

 相川くんは、事件の詳細まではおそらく聞かされていない。
 私も電話では《教習中に村上隆志くんが亡くなった》ことしか伝えていなかった。
 

 緊張がはしる。