弥生の目つきが鋭くなっている。
 なんだか、私が睨まれているような気分になって、思わず肩を竦める。

「……ありがとう、弥生。他に弥生自身が気になったこととかはない?」

 私が言うと、弥生はすぐさま答えた。

「村上くんと言えば、実は私、今日朝一で会話したんだよね。教習所の冷凍庫貸してくださいって」

「冷凍庫?」

「なんか、来る途中に友達からアイスを貰ったから冷やしたいって。だけど、ちょっとびっくりしちゃったよ」


 村上くんがそんなことを頼んでくるなんて、確かに珍しい、と思った。

 篠さんの方を見ると、彼も少し気になっているようだった。
 なんとなく、そんな表情を浮かべていた。


 私達は、改めて弥生にお礼を言い、事務所を後にした。