その時、突然女性の悲鳴が聞こえた。



「……なに?」

 周りを見渡す。

「なぎさん! あの車」

 篠さんの指差す教習車を見た瞬間、肌が風のない空気に撫でられザワザワとした。



 私達からはその運転席が見える。

 ハンドルに覆いかぶさっている教習生に、何か……おそらくナイフが刺さっている。

 そして、そこからは血が……。



「26号車……!!」


 文乃の、教習車だった。