ドライヴ〜密室の教習車〜

 でも、今の私は本当に篠さんのことを尊敬していた。

 つかみどころのない人だと思っていたが、事件や与田さんと向き合っている時の篠さんは頼もしく、悔しいがカッコイイと思った。

 私なんて、結局与田さんとは向き合うことすら出来なかった。
 思い返すと、恥ずかしくてどうしようもない。
 まだまだ自分は未熟だ、と心底思った。

 だけど、そんな私にさえ「よく頑張ったな」と、篠さんは言ってくれたっけ。


「……それから、そうだ。里卯さんの様子はどうだ?」

 慌てて話題を変える篠さんに、少し笑いそうになった。

「もちろんまだ完全復活というわけじゃないけど、だいぶ落ち着いてますよ。昨日は弥生と3人で呑みました。私達の前じゃ辛いのを隠してるんだと思いますけど、笑顔でしたよ。だから、私達も思いっきり楽しんで呑むことにしたんです」

「そうか。公史も随分心配してたからな。報告しとこう」

 おやおや、公史さんが?
 ふうーん。