ドライヴ〜密室の教習車〜

 篠さんの視線を首や腕に感じた。

「外は暑かったか?」

「晴天です」

 だろうな、とつぶやき、私の向かいに腰を落とす。

「じゃあ、忘れないうちに」と、私は篠さんの前で財布を広げると、お札を数枚、小銭を数枚出した。

「4830円」

 今日の目的は依頼料の支払いだった。

「これで延長料金が払える」
 篠さんはテーブルの上に広げられたお金を集めながら言った。

 その姿がなんとなく不憫だった。

 私もせめて、封筒か何かに入れて持ってくれば良かったか。
 でも、まあ。いっか。


「……あれから、どうだ?」

 篠さんが、窓の方を見ながら言った。