ドライヴ〜密室の教習車〜

 意識の膜の向こうで、篠さんの低い声が聞こえ、振動する。

「あなたは、何も後悔してないんですね」

 与田里子は、右斜め下に視線を落とした。

 表情は、まるでなかった。
 あえて感情を隠しているのか、それとも感情をなくしてしまったのか、それとももともと感情を欠如していて今までが演技だったのか。

 どれとはわからない。
 それに、わからなくてもかまわない。

 彼女は人の形をした人形のように見えた。
 


「……なぜ、私をここに呼んだの? 私を罰することなんてできるはずがないのに」

 意味のないことを、と与田里子は言う。


「あなたを罰することが出来る《方法》を、一つだけ知っています」


 篠さんの言葉に、与田里子は驚いたように顔を上げた。