ドライヴ〜密室の教習車〜

「自車校で、里卯さんと出会ってから、村上くんは我を忘れたように里卯さんに夢中になって。しかも、振り向いてもらえないのが辛い、死にたいって言いだしたの。その前からずっと、佳奈に会いたい、だから死にたいって言ってはいたけど……」

 里子ちゃんの瞳自体には、光はなかった。
 ただ、瞳を未だ覆う涙の凹凸(おうとつ)が揺らぎ、私の視線を捕えさせたままだった。

「私、もうどうしようもできなくって。じゃあ、どうせ死ぬなら里卯さんの前で死んだらって言ったの。村上くんの最期を、目に焼きつかせてやったらって。《あなたのせいで自分は死んだんだ》って……そう、復讐ってやつ」

 里子ちゃんの声は、こんなに冷たかったろうか。

「村上くんは随分思いつめていたから、面白いぐらいその話に乗ってきたよ。そして、四日前にこの喫茶店でその方法について二人で相談したの」


 私は、言葉にならなかった。

 自分の想像出来る範囲はとうに越えてた。

 言葉に出来る範囲を越えているのだ。


「……もしも、たまたま里卯さんが運転席にいる時に、凶器が飛び出したらどうする気だったんだ?」

 篠さんの質問は、更に私から言葉を奪う。