なっ…!?


なんで、コイツ…椎名のこと…フルネームで知ってるんだよ…。


俺は絶対に教えてないはずなのに…。


ドクン…と心臓が嫌な音を立てて跳ねる。


「あ、ああ…椎名は同じクラスだけど…。」


動揺する心を抑えながら、冷静に答えた。


「へぇー、そうなんだ…。星愛ちゃんはA組かぁ…!」


「…それが、どうしたっていうんだよ。」


冷ややかな視線を向けると、碧はキラキラと目を輝かせた。



「実はさ、同じクラスのサッカー部の奴らが、“星愛ちゃんが金曜日の練習試合を見に来てた”って今朝から騒いでたんだよね。」


「は?」


「星愛ちゃんって、ふわ〜っとしたオーラを持ってる、可愛い癒し系の女の子らしいじゃん。密かに狙ってるヤツ、結構いるみたいだぜ?」


「ふーん……。」


素っ気ない返事をした俺だったけれど、内心…かなり驚いていた。


椎名は、確かにフワッとした優しいオーラを持ってるし、表情豊かで可愛い。


癒し系…ってのも分かる。


だけど、椎名を狙ってる男が結構いるなんて、正直…知らなかった。


サッカー部にも、椎名を狙ってる奴らがいるのかよ…。