“一緒に勉強しないか?”


椎名から数学が苦手なことを聞いた俺は、その言葉を咄嗟に口にしていた。


彼女の役に立ちたい。
力になりたい。


そう思ったのも事実だけれど…


何より、椎名と過ごす時間を増やしたかったんだ…。



“キーンコーンカーンコーン”


午後の授業が終わり、放課後。


空き教室へ向かおうと、廊下に出た俺は、ポンポンと後ろから肩を叩かれた。


誰?


疑問に思いながら、ゆっくり振り向くと、そこに立っていたのは碧だった。


「ったく、誰かと思えば碧か…。」


「何だよ、その冷めた態度!傷つくじゃねぇか!」


全然、傷ついてるようには見えねぇけどな。


口を尖らせて拗ねている碧に、苦笑いしてしまった。