「それ、本当…?」
「う、うん…。」
ビックリしている日向君にコクンと頷く。
お互いの距離が近くて、鼓動が一層速くなった。
「入学式の朝、私…昇降口に続く桜並木で、日向君を見たの…。男の子たちと一緒に歩く日向君は、満面の笑顔でキラキラしていて…。そんな姿を見たらドキドキして、恋…しちゃったんだ…。」
か、顔から湯気が出そう…。
心臓も破裂しそうなほどバクバクしてるし…。
この音、日向君に聞こえそう…なんて思っていると、ギュッと強く抱きしめられた。
「あ、あのっ…日向君!?」
「ヤバイ…、その時から俺のこと想ってくれてたなんて、すげぇ嬉しいよ。」
日向君は声を弾ませる。
抱きしめられてるから、日向君の表情は分からないけど、喜んでくれてる…っていうのが伝わってきて、私も嬉しくなってしまった。
「あっ!それじゃあ、前に椎名が窓の外をジッと眺めていたのは、もしかして……」
「あれは…桜並木のところを見て、初めて日向君のことを好きになった入学式の朝を思い出してたの…。私にとって大切な思い出だから…。」
「そっか、そうだったんだな…。」
嬉しそうに納得する日向君の声が降ってくる。
私はポロポロと涙を零しながらも、思わず笑みが溢れてしまった。


