「あっ、日向君…。」


直視することが出来なくて、視線を泳がせる。


気まずさゆえに、声が少し裏返ってしまった。


「どうせなら、空き教室に一緒に行こうかと思ってさ。」


「えっ…」


日向君を見ると、柔らかい笑顔を浮かべている姿が映る。


目が合ってしまい、私は慌てて視線を逸らした。


「あ、あの……」


「ん…?」


ちゃんと言わなくちゃ…。


そう思いながら、ゆっくりと口を開く。



「日向君の話を聞くの、また今度でいいかな…?」


「えっ…」



日向君からは、驚いた声が聞こえてきた。