「あ、あのっ…試合が始まるみたいだから、私は…帰るね…。」


「ああ…。ま、またな。」


少し照れくさそうな日向君に、軽くお辞儀をした私。


すぐに、その場から離れようとしたけれど、手に持っていた御守りの存在にハッと気付いた。


そ、そうだ…。


せっかく、御守り作ったんだから、渡さなくちゃ…。


私は、日向君の前に勢いよく御守りを差し出す。


「日向君っ、私…昨日の夜に御守りを作ってみたの…。」


「えっ…」


「明日…サッカーの大会があるって友達から聞いたから…。日向君がケガすることなく、試合でたくさん活躍できますように…って。よっ…良かったら、受け取って下さい…。」


最後の方は恥ずかしくて、だんだん小さな声になってしまった。


受け取ってくれるかなぁ…日向君。


心臓が飛び出しそうなほどドキドキしていると、日向君はゆっくりと御守りを手に取った。


「すげぇ嬉しい…。椎名、ありがとう!」


日向君は満面の笑みを浮かべる。


嬉しそうに御守りを見る日向君に、胸がいっぱいになった。