重い足取りで家の近くまでやって来ると、家の前に立っている人影が見える。


誰だろう…?


不思議に思いながら足を進めると、その人影がこちらに向かって駆け寄ってきた。



「夏綺っ!やっと帰って来た〜!」


「なんだ、碧か…。」


溜め息まじりに呟いた俺に、碧は不満げに頬を膨らませる。


「なんだよ、その言い方は!ったく、花火大会…星愛ちゃんを捜しに行ったきり、全然戻って来ないから、すげぇ心配してたんだぞ?」


「あ…、悪い…。」


「俺らが居る場所を知らせようと思って何度も電話したのに、ちっとも繋がらないし…。だから、結局…みんなで花火を楽しんで解散したけどさ。」


「そうか…。悪かったな…。」


携帯の画面を確認すると、碧からの着信が何件もきていた。


椎名のことばかり気になってたから、着信のバイブに全く気付かなかった…。


っていうか、この何件か入ってる着信の前に、碧に電話したけど繋がらかったんだよな…。


心配してたんなら、ちゃんと電話に出ろよ…。


若干、イラッとした気持ちを抱きながら苦笑いを浮かべる。


そんな俺の顔を、碧はジーッと見た。