「それなら、碧に電話してみるか…。なんだかんだ言って、アイツなら繋がるかも…。」


今度は、唐沢君の番号に電話する日向君。


次は大丈夫かな…。


そんな風に期待したけれど、唐沢君にも電話は繋がらなかった。



「…ったく、いざって時に役に立たないな、碧のヤツ…。」


日向君は小さくため息を零す。


「まあ、みんなで賑やかに話でもして盛り上がっていたら、着信に気付かないかもな…。」


そう言って苦笑いを浮かべると、髪をクシャクシャッと掻いた。


どうしよう…。


私のせいで、日向君もクラスのみんなとはぐれちゃったよ…。


申し訳なさを募らせていると、ドンッという大きな音と共に周りから歓声が上がる。


夜空を見上げると、大輪の花火がキラキラと咲いていた。


「あっ…」


花火、ついに始まっちゃった…。


最初に一発打ち上がったのを合図に、続けて何発も打ち上がる花火。


その光景を沈んだ気持ちで見ていた時、不意に日向君は私の手を引いて歩きだした。