「すみませんっ!!」


「いや、こっちこそ…ごめん。」


二人で慌てて手を引っ込める。


お互い沈黙してしまい、なんとも気まずい空気になってしまった。


もう、本当…何やってるのよ…私。


顔に体中の熱が集まってきているかのようだ。


きっと…真っ赤になってるだろうし、恥ずかしくて溶けそう…。


すぐにでも、この場から立ち去りたいよぉ…。


そう思った時、キキーッというブレーキ音が響き、反対側のドアが開いた。


ちょうど、途中の駅に着いたようだ。


こ、こうなったら!


私は単語帳をサッと拾うと、素早く立ち上がって、日向君にガバッと頭を下げた。


「あ、あのっ…失礼しますっ!本当にすみませんでした!!」


それだけ言った後、私は転がるような勢いで慌てて電車から飛び出した。