「あ、それで…さっきの花火大会のことなんだけど、集合時間とか…これから決めるんだ…。決まったら、椎名に連絡したいから、えっと……」
日向君は、制服のズボンのポケットから携帯電話を取り出した。
「番号、教えてもらってもいい?」
「えっ!?」
ば、番号って…
私の携帯の電話番号ってことだよね…!?
同じことを頭の中で何度も繰り返した。
「ダメかな?」
「だだ、ダメじゃないよ!あのっ…宜しくお願いします…!」
私は慌てて携帯電話を取り出す。
緊張しながら赤外線通信をして、番号を交換した。
「ありがと。決まり次第…すぐに椎名に電話するよ。じゃあ、俺…他の人にも参加希望を聞いて回らないといけないから、またな。」
「うん、またね…。」
教室の中に戻って行く日向君を見た後、自分の携帯電話を凝視した。
携帯の番号、日向君と交換しちゃったよ…!
嬉しくて、携帯を持つ手が小刻みに震えた。
夏休み、全然…会えないと思ってたけど、日向君に会えるんだ…。
楽しみだなぁ…花火大会。
携帯をギュッと握りしめた私は、ウキウキと胸を弾ませながら、笑みを零した。