「えっ、攻める!?それはちょっと…」


言葉を濁らせる私に、美波は眉間のシワを深くする。


「ダメダメ、そんな弱気になっちゃ…。モタモタしてると、日向君…誰かに奪われちゃうわよ?」


そんなこと言われても…。


せっ、積極的に攻めるなんて…出来るわけないよ…。


無理無理…!


心の中で否定的な言葉を繰り返した。


「噂によると、C組の三浦 胡子(ミウラ ココ)も日向君を狙ってるらしいから、気をつけた方がいいわ!」


「へ?三浦さん…?」


聞き覚えのない名前に、首を傾げる。


すると、美波から“えぇっ、知らないの!?”という驚きの声が返ってきた。


「この学校で1位2位を争うぐらいの美人で、すごくスタイルのいい女の子よ!性格は結構…裏表があるらしいけど…。それでね、その子…サッカー部のマネージャーしてるのよ!」


「えっ…」


そ、そうなんだ…。


「入学した当初から、3年生と付き合ってたらしいんだけど、つい最近…別れたらしいの。それで、今度は日向君に好意を持ち始めたらしいわ…。」


「へ、へぇ……」


美波ってば、一体…どこからそういう噂を耳にしてくるんだろう…。


情報の細かさに苦笑いを浮かべた。