「椎名、大丈夫?」
「えっ…?」
ガタンと音をたてて電車が走りだした途端、聞こえてきた日向君の声。
顔を上げると、日向君の端正な顔が映った。
「ずっと俯いて歩いてたから…。雷、ゴロゴロ鳴ってたし、怖かっただろ?」
不安そうな声に胸がキュッと苦しくなる。
私…緊張と過度のドキドキで、何を話せばいいのか分からなくて俯いていたのに…
日向君は、雷を怖がってるんだと思って、ずっと心配してくれてたんだ…。
「そ、そんなことないよ…大丈夫。」
「本当に?」
「う、うんっ!」
ジッと見つめられて、鼓動が勢いよく波打つ私。
ひっくり返りそうな声で、コクコクと大きく頷いた。
正直、日向君のことで頭も心もいっぱいだったから、雷なんて…気にならなかったな…。
頬がほんのり熱くなるのを感じていると、日向君が私の頭にフワッと手をのせた。


