「きゃっ、光った…!」


突然、椎名がビクッと肩を上げる。


彼女の視線は窓の方に向けられていた。


どんよりと暗い雲が覆っている空。


今にも雨が降ってきそうだ。


もしかして、今の“光った”って…雷のことだろうか?


そんなことを考えている時、少し遅れてゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。


「や、やだな…雷。」


椎名は、ポツリと小さな声で呟く。


空を見つめる表情は、かなり不安そうだ。



「椎名、雷…苦手?」


「う、うん…。鋭い光とか空気を裂くような音とか怖くて…。」


そっか…。
確かに、雷は光も音もスゴいもんな…。


ビクビクしている椎名を見つつ、俺は自分のノートや教科書をバッグに片付けた。


「雨も降りそうだし、勉強はこのぐらいで終わりにして、帰ろっか。」


「そっ、そうだね…。」


コクンと頷く椎名。


帰り支度を終えて立ち上がった彼女に、笑顔を向けた。


「時間も少し遅いし、家まで送るよ。」