「あ、あの〜……大和さん?」 「…ん? 何?」 「私、歩けますよ?」 「うん」 「歩けないほど疲れてません」 「うん」 「自分で歩けます」 「うん」 「おろしてください」 「うん」 ―あたしは今、なぜか… お姫様抱っこを、されていて…。 “うん”と言いつつも、 おろしてくれる気配は、 大和さんにはまるでない。