「どこか行きたいところはある?」 「大丈夫です」 「…そう。じゃあ、家にまっすぐ 帰るよ」 「はい」 ―正直に言うと、 今のあたしには、 不安しかなかった。 だけど… あの、窮屈な家から 出れたことだし、 身代わり万歳…とまでは、 さすがにいかないけど。 少しだけ…嬉しかった。