「…俺は父さんの近くにいたら自分を封じ込めちゃうんです。ここではみんな、俺を受け入れてくれたから、笑って過ごせたんです。だから父さんのところで俺が力なんて発揮できるはずないと思うんです。」

「…。」

「利一さんが俺のためにここを出ていけというなら、それは間違ってます。俺のためにはなりません。でも、それでも利一さんがここから出ていけと言うなら、俺は従います。」

利一さんは何も言わなかった。