「花。」

「…りーちゃん。」

「花、お腹すかんか?」

「…うん。」

「なんか食べたいものないか?」

「…何もいらない。」

利一さんは花ちゃんを膝に乗せた。

「花、なんか食べんと死んでしまうよ?」

「…私はいらない子だもん。死ねばいいんだよ。」

まだ小さい花ちゃんがこんなことを思ってしまうなんて…

「俺には花が必要なんよ。花が死んだら悲しくて、つらくて、苦しくて、俺も死んでしまう。」

「…。」

「花、無理には食べんでいい。でも、花が死んでしまうのは嫌なんよ。」

利一さんはポケットから飴を取り出した。

「これだけでいいけん、食べてくれんか?」

「…。」

花ちゃんは弱々しく利一さんから飴を受け取り、口に入れた。