「…なにこれ。」

「あなたと一緒に置かれてた手紙。」

利一は黙読した。

「…こんな手紙だけ置いていったん?俺を、子どもをお願いするのに、こんな手紙だけ?やっぱり捨てられたんやん。」

「違う。この手紙には愛が詰まっとる。」

「は?」

「愛してない子どもに名前なんてつけんよ。利一は生まれて1ヶ月も経っていなかった。生まれてからの短い時間でも名前があったということは、利一を育てるつもりやったんやろ。」

「それでも捨てたことに代わりはないやろ!」

「捨てたんやない。利一は私たちに託されたんよ。」