だから、もう逃がさない。




はぁ………、疲れた。


学校から家までは割と遠くてようやく見慣れた住宅街へと入る。


高校までは自由にさせてくれると、両親から独立して昔住んでいた家で暮らす私。


1人だけど、そこが楽で。

あまり大きくない家なだけ、特に孤独感を感じない。




「…………は?」



ようやく見えた家には、何か黒っぽい影が見えた。


ちょっと速足で行ってみれば、道路で横たわる人。

……生きてる?


「すいません」

触ってみようかと思ったけどあえてしないで声をかけてみる。



「んん………」


色っぽい声を漏らすのは、見たことのある制服を着た男子。


しゃがみ込んで覗いて見れば、眉を寄せて長い睫毛を臥せている。

さて、どうしようか……


「あの……ッ?!」


勇気を持って肩をさすってみれば、急に手首を捕まれた。