だから、もう逃がさない。





『…別にいいけど。』



素っ気ない声がして、嘘だってばれなくてホッとした。



『…………志乃。』

「ん、なに?」

『今日は会わないの。』



低い声が直接耳に届いてる気がして、右耳が熱くなる。


ほらまた、狡い聞き方。



「ヤダ。会わないよ。」

『じゃあ、いつにする?』


否定してもしつこく攻めて来ない翔。

私に、聞かないでよ……。