だから、もう逃がさない。





このままじゃ、やばい……



「わかった!中に入れるから!」


もうやけくそだ。

大声で叫ぶように言えばパッと顔が離れて目の前の人は微笑んだ。


「ありがとう」

「卑怯者………」

「ん、何か言った?」



これ以上会話してたらまた変な風に流されそう。

喉まで出かかった言葉を飲み込んで、家のドアを開けた。


気が重いせいか、ドアを開けるのでさえ苦痛だ。



「ご飯あげるだけだから」

「はいはい」



ほんとに分かってんの?

中に入ればキョロキョロと辺りを見回しながら私についてくる。