だから、もう逃がさない。





「なぁ、腹減った」

「コンビニ寄ってけば。」



コイツ、どんだけ家に上がりたいんだ。


あれから10分、諦めることなく私の指を絡めたままブラウンの瞳で私を見てくる。



「コンビニ行く前に餓死する。」

「十分、元気じゃん」


そのまま餓死してくれた方がありがたいけど。



「これのどこが?」


私に身を預けるように急にもたれてくる目の前の人。

おも……ッ



「死にそう………」

「ちょ、どいてよ…ッ」

「無理。動けねー」



耳元で大声出されて、うるさい。としか言えない。



「俺、焦らされんの好きじゃねぇんだけど」


その反応を見て面白がったのか、

さっきとは全然違う、低くて甘い声が鼓膜を震わせた。


「噛み付くよ」

「……ひゃ……ッ…」


耳元に感じた生暖かい感触。

甘噛みされてるのか、舐められてるのか、初めての感覚に重心がクラクラした。