「先輩のこと、……大好きでした」
大好きで、大好きで。
逃げたくなるほど、想ってしまった。
できることなら、尊敬の気持ちだけだった頃に戻りたい。
純粋に憧れていた、駆け出しの頃に。
「……」
無言でそっと腕を解く先輩。
後輩に好きになられて、迷惑したのだろうか。
何も物語らないその表情から、先輩が何を考えているのか全く分からない。
わたしを映す目の前の瞳は、まるで丁寧に磨かれたレンズのよう。
それ程透き通った瞳をもつ先輩に、わたしはこんなにも大きな下心をもっていたなんて。
情けないなぁ…
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