「せんぱ…っ」
先輩の胸が目の前に。
初めての、こんなにも近い先輩の匂い。
抱きしめられてられているのだと気付くのに少し時間がかかってしまった。
「ちょっ…ダメですよ、こんなの…っ」
自然と体に力が入ってしまう。
押し返そうと、先輩の腕に手をかけた。
「もう…俺から離れてまうんか?」
わたしの抵抗に構わず呟いた言葉が、すぐ耳元で聞こえる。
それは、わたしたちの師弟関係のことを言っているのだろうか。
…それとも、今のこの状態のこと…?
「…離れないと…ダメなんです」
気付けばそう口にしていた。
「離れないと…気持ち抑えられない」
先輩に憧れすぎて。
先輩に、恋しすぎて。
これ以上一緒にいると、ダメになってしまう気がする。


