涙を拭い、ゆっくり玄関の扉を開けた。
同時に目に入る、ヒカル先輩の姿。
「こ…こんにちは…」
「アホ」
開口一番、侮辱の言葉。
「昨日までいつも通りやったのに、何で今日突然おらんくなるんや」
「…すみません。何となく言いづらくて…」
「はぁ?ワケ分からんわ」
思いっきり眉間にシワを寄せ、呆れ口調の先輩。
こうなるのが普通だ。
「…月島が独り立ちしたいんやったら、別に俺は引きとめたりはせん」
「え…?」
「けど、何も言わんと消えるな。心配するやろ」
「……っ」
頭をぺしっと叩かれる。
痛いと思った次の瞬間、ふわりと温もりを感じた。


